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『現代萌衛星図鑑』が届いた。
つい先日地球に帰還し、大気圏で燃え尽きた『はやぶさ』が話題になったことから、この本についての話題を目にする機会に恵まれた。レビューには良書とあったし、俺自身はやぶさを通じて衛星に興味が湧いたこともあり購入してみたが、うむ。良い本。まだ1章(ひまわりに関する話)を読んだ段階なのだが、きちんと衛星の誕生から終焉に至るまで語られている。
しかしそれよりなにより、著者であるしきしまふげん氏のテキストがたまらん。各章の冒頭にはその衛星の起源や歴史に基づいた短文があるのだが、ものすごく、こう、ロマンなのだ。そしてそれは本文にも及んでいるのだ。落ち着いた語り口で淡々とドラマを語られるのは妙にテンションが上がるのだ。それはヘンな表現を許してもらえるなら、シューター的ポエムのノリとも言える。
そう、それこそ斑鳩が行くのである。ジョン・フォードは階段を駆け下りるのである。フォルトナはひとりぼっちで息絶えるのであり、地球人類は衛星軌道上のテトラIVにいる4人のクルーを残して全滅し、変態メガネは彼のすべてを手に入れるために死地に赴くのである。
最後ちょっと違う。ともあれ、これらのシチュエーションを知ったときの、ストーリーを知ったときの奇妙な胸の高鳴りのような、そんなノリがテキストの随所随所にあって、読んでいて引き込まれる引き込まれる。4章の「みどりII」の話の出だしがいい感じだったのでちょっと引用するが、
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それは突然の別れだった。1997年6月30日、地球観測プラットフォーム技術衛星「みどり」(ADEOS)は突如消息を絶った。後日、ドイツの高周波物理学研究所によるレーダー観測で、太陽電池パネルが千切れ飛び、息絶えている「みどり」の姿が発見された。事故原因は、全長24mにも及ぶ伸展式の太陽電池パドルが宇宙空間での温度変化に対応できず、破断したためと判明した。
事故から5年。「みどり」の後継機として、「みどりII」はこの世に生を受けた。事故の教訓を汲んで設計を見直された太陽電池に、強化された自己診断システム、そして亡き姉の意思を胸に秘めて。
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……基本全部このノリですよあーた。擬人化っつーとどうしても萌えキャラ化のイメージがあるし、それはこの本でも間違いじゃないんだけど、しかしそれが全てかというとそうではない。この本はどちらかと言えばそれこそ『斑鳩』ラストにおける「あなたは最善を尽くしました……私は、お役に立てましたか?」にハっとしてグっときてキュンとするような、そんな人(俺とか)向けに仕上がっている。
SFなんかでは「人と、人じゃないものとの共同戦線」という題材がよくあるが、この本はそれを踏まえたテキストで、更に事実に沿って綴られている。それが私的にはどうにもツボだ。これは良い本だ、そして良い擬人化だ。買って良かった。
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